生きがい

 

途中までだったけど、流れた。
最初に感じたのは、「まんまテルさんへの曲じゃないのかコレ」…でした。

なかなかね。
なかなか、「ファースト・インプレッション」っていうのは、抜けませんだ。
未だにそう思って聴いてるんだもの(;´ー`)y-~。

後から、「SUGIZOさんの生き方」を…と作者本人が説明してるのにさ。
後から、「この曲は主人公が3人いて…」との作者の言葉に、もしやと思ったりさ。

月日は流れ。

2001年北海道EXPO。
タクロウスペースの生原稿展。
『生きがい』の生原が、たくさんのノートの切れ端の最後に並んでた。

仮タイトル。
『To my daughter & the son』。

…SUGIZOさんだけじゃないだろ。
と、管理人さんは頭を抱えて確信したとか、そうでないとか。

それはいいとして、汗と涙の『HEAVY GAUGE』ツアー(冠言葉必須)。
あのツアーは、『Will Be King』と、『生きがい』のためにあったツアーというきらいがある。私の中で。

『HEAVY GAUGE』がスタート地点。
そこから、あの曲につぎ込まれた痛みを抱えて飛び立とうとする、そんなツアー。
で、辿り着いた場所が、…落ちた場所が、『ひとひらの自由』というところ。

自由のかけら。
決して”自由そのもの”じゃない。
自由が砕け散った、ちいさなちいさなかけら。

けど、夢を失くしてたはずなのに。
砕け散ったはずなのに、そこに残ったひとかけら。

気力を振り絞って。
目を上げて。

その、ひとかけらの勇気をGLAYさんに…タクロウさんに与えてくれたのは。
自分を動かす、存在理由にも似た『生きがい』だったんだろうなと、今、想う。
なくても死にはしないものが、生きる力を与えてくれた。

 

「生き甲斐ってなくても死にはしないけど、ないと寂しい人生なのかなって気がするし。
   音楽があるから生きていく甲斐があるっていうか。それがGLAYであるということかな」

 

歌詞が渡されたとき。
テルさんすら混乱したそうです。
タクロウさんですら混乱していたのだから、しょうがない。

 

「たとえばもし、明日死んでしまったとしてもGLAYの一員だったということでいい人生だったと思えるような。
   …その変の混乱具合はまだ分からない。まだカラッポなんで」

 

「おまえ、どっちなんだ」と。
「なにが大切で、なにを守ろうとしてるんだ」とは、テルさんの問い掛け。

彼らには、彼らにしか分からない独特な意思の疎通がある。
渡される歌詞から純粋に膨らんでいく風景は、何がどうなっても同じ風景だと思う。
…戸惑いすら、すぐに通じる。

タクロウさんは、もう一晩歌詞を練り直したそうです。

『生きがい』。
あの頃は難しい歌だった。「さぁ、理解すれ!」ってのが無理。
今は…すこうしだけど、小指の先程度になら、あの頃の彼らの叫びを飲む事ができるのかもしれない。

 

許されぬ過ちもどんな出来事も 振り向いたなら懐かしき日々
   運命は一瞬のホンの出来心 出逢いを悔やむそんな時もあった

 

…どうしてくれようか。
初っ端から、私達が生きる三千世界の真理をズバリと(´ー`)。

許されはしない罪も。
この世界のありとあらゆる清と濁の出来事も。
時が経てば、少しの痛みと共に在る、懐かしい過去に姿を変える。

「絶対に許さない!」と泣いた日も。
いつか、心の拘りがほぐれ、遠いものを見るような気持ちで振り返る日が来る。
心の棘を、惜しみない優しさで抜くのは、時間という…誰にも平等に与えられてるもの。

運命。
タクロウさんが歌う「運命」って、ものすごく重い。
歩いてく道は自分達で作るものだろう。
けど、出逢いは、始点は、誰かの意思によってもたらされたものなのかも。

出逢い。
心が、動く、一瞬の出来事。
動いて、それから。

あなたとの出逢いを悔やむ日もあった。
仮歌では、「互いを知らぬ、幸せな夢」と書かれてありました。

幸せな夢。
「あなたと出逢わなければ、傷などない夢を見続けていられたのに」ということなのかな。
出逢いさえしなければ、お互い幸福な生だった、ってことなのかな。

 

人の心にむやみに踏み込んで ここでは返す刀で怪我をした

 

人の心に入ろうとすればするほど。
相手を傷つけ、その刃を返すとき、いつだって自分すら傷つけて。

あなたの心に寄り添えば寄り添うほど、傷つけてしまう。
癒す歌を、ただそれだけを求められてきたのに、簡単にひるがえされた。

人のこころは変わることなど容易い。容赦なく浴びせられる暴力じみた刃。
あなたは根こそぎ、人間性すら根こそぎ否定されなかったか。

もう、傷だらけだ。

 

難しい話ならもうやめにして
   冗談の様な笑顔を見せて欲しい 愛の名に

 

難しい話はもういい。
そんなのはいいから。

笑顔が欲しい。
くだらない冗談を言い合うときのように、いつもみたいに笑って欲しい。

笑っていて、ほしいんだ。

愛の名。
「あなたが愛の名前」という意味でしょうか。
揺るぎ無い愛のような名前を呼べば、あなたの笑顔がすぐに返るから。

 

疲れる事を知らない子供の瞳で 愛を説く
   あなたがくれたかけがえの無いものを 大切に守り抜いてく それこそが…
         日々の暮らしの中に咲いた 生きがいになるだろう

 

ここの詞は、人間が言葉を使わなくなる日がくるまで何が何でも残しておきたいです。
「生きがい」の歌詞はどこの箇所もそう思うんだけど、ここは特に、いつまでも忘れないように。

余計な言葉はいらないよ。

あなたの瞳が。
疲れるという事を知らない瞳が、愛とは何かを教えてくれる。
かけがえのないもの、生きる中で忘れてはいけないものを教えてくれる。

あなたがくれたものを、大切に守り抜く。

それこそが。
日々の暮らしの中で失くした証が。
日々の暮らしの中に咲いた花…生きる力に、なるだろう。

仮歌の段階では。
「日々の暮らしの中に咲いた生きがいになるだろう」が。
「日々の暮らしの中で無くした証そのものだろう」と歌われてました。

迷いに迷ってた証のような痕跡。
もしかしたら、仮歌のまま完成していたら、『生きがい』ってタイトルにはならなかったんじゃ。

「生きがい」というフレーズが出てくるのは、ここだけ。
でも、ここだけで、「この歌は『生きがい』を歌っているんだ」って理解できる、すごい説得力を持ってるわけで。

『To my daughter & the son』…『子供達へ』。

無くした証だったなら。
あなたがくれた無償の愛を、大切に守り抜く事が。
澱み無い、あなたへの愛情の証なんだと、そういう事なのかな。

これはテルさんも戸惑ってしまう。
失くしたものが、何となく美化されている。
手の届かない尊いものが、一体誰を救えるんだ。

人一倍理想を持っている人だと思う。
でも、理想だけじゃ誰も幸せには出来ない。

「失くした証」より。
理想よりも、生きた言葉で。
生きた感情で、失くした証を、生きがいに変えろ。

…生きる意味に。

迷って、迷って、考えて、もがいて。
やっとの思いで辿り着いた場所にあったものが、『生きがい』だったのでは。

 

その白い胸がくれる温もりが なぜか無性に孤独にさせた

 

無償のぬくもりが、無性に孤独にさせる。

「ひとり」だから、「独り」なんじゃない。
"個"を実感する時に、途方も無い孤独を噛む。噛み締める。

一緒にいればいるだけ、孤独を知るんだろうな。

 

愛する事と憎むことはつまり 構成してる物質(もの)は同じ事と気づきながら…

 

何だかここの辺りは、ものすごい事を言っているような。
夢見る男タクロウ、夢ばっかり見てるんじゃないって事でしょか(失礼だよ)。

「愛すること」の反対は、「憎むこと」じゃない。
愛していた対象から興味が消えてなくなること。それが「愛すること」の反対。

愛することも、憎むことも、興味があるから。
どうしようもなく心が動かされるから。そんなもん。
同じ強さで、同じ密度で、相手を想う。どこまでも考える。

どっちも、構成しているものは、「想う」事の気がする。
想いが突き進むベクトルが違うだけで、根本はいっしょなんだ。

愛してるから、憎まずにはいられないんだろう?

 

華やいだ街は 今 泣きたいことを抑え、なお 人の欲望に殉じている様だ
   「もうおやすみ」と誰かが言ってあげなきゃ はりつめたその心を 癒せはしないだろう

 

ここはもうGLAYそのものを喩えてるよ。
あのわけの分からないくらいに…"社会現象"とまで騒がれて、TVに出ずっぱりだった日々。
華やかな音楽の頂点へ。やっとの思いで掴んだ栄光、名誉。

外から見れば、順風満帆以外の何物でもなかった。

けど。
「売れてよかったと思うことは、ひとつもない」

『誘惑』頃のインタビューかな、こんな事を言ってたのは。
「そんな事はないだろ、お金ガッポガッポ入ったし」、って思ってしまいがちですが(;´Д`)。

バラエティー番組にも出て。
お菓子のCMにも数度出演して。
地下鉄車両にポスターが張り巡らされ、それを堂々と盗んでる映像がTVで流れたり。

とうとう飛行機にまでなっちゃった。

何の為?
GLAYを転がす為。
心待ちにしてくれている、ファンの為。
史上最大のライブへの夢。

夢を売る。
希望を伝える。
その裏で、どんな葛藤があったのだろう。

人の欲望に殉じる…。
殉じるという事は、魂を捧げるという事。
ひとの身勝手極まりない欲望に魂を捧げる。私だったら絶対に嫌だ。

嫌だと思ってても、「夢」のためには飲み込まなきゃならない。
どんどん疲れていく。何もかもを切り売りして。

それでも足りなくて。
何もかもが奪われていく。

はりつめたこころ。
ほんの少し触るだけで砕け散ってしまいそうなほどに弱ってしまった心。

誰かが「眠っていいよ」と言ってくれなければ。
疲れ過ぎた心は…もう独りでは、眠れない。

 

僕は独りだ 祈るべき神も 祈る言葉も とうに無いさ
   どこへ行けば どこまで行けば あなたの言葉の意味がわかる?
      意味が見つけられる?

 

…何だか、この歌に綴られている言葉は全て重くてかないません。
こんなに長いんだけれども、どれかひとつでも欠けてはきっとダメなんだ。

「僕は独りだ 祈る言葉も 伝える術も捨ててきたさ」
「僕は独りだ 祈るべき神も 祈る言葉も とうに無いさ」

上のが仮歌段階での歌詞になります。
どっちも、心に直接ドゴーンとくる。「ドゴーン」って変だけど、まさにこんな感じ。

独り。
独りになりたくなくて、ここまで来たはず。

「僕は独りだ」って、はっきりと言い切ってしまうのが、とても切ないです。
いつも、誰よりも独りを怖がるひとじゃなかったっけ。

「僕は独りだ」。
神様から直接言い渡される、絶対服従の宣告のように。
自分の胸に鋭利な刃で刻み込むように。

「"独りにはなりたくない"と、泣き濡れた夜もあったな…」
『pure soul』より。

祈るべき神も、祈る言葉も、とうに失くした。

神って何だ?
救いの手を差し伸べてくれる存在、かな。

でも、分かってしまったんだ。

救いなど、ない。
独りだから、神もいない。

"救われる"なんて、幻でしかないんじゃないか。
期待しても、求めても、いつか必ず消えていくだけ。
安らぎも、ほんの少しの時間を埋める代物でしかない。

「あんなにお願いしたのに、神様は結局助けてはくれなかった」
『ひとひらの自由』の歌詞カードより。

祈る言葉。
どんなに祈っても、届かない願い。

神など、信じない。
祈る言葉など、もう捨てた。
神は信じない。信じてたまるか。誰が縋るか。

けれど。
最後の最後…カラッポになった心に、最後まで残ってたひとかけら。
涙で感情すべてが流されても、失うばかりでも、絶望を年輪のように重ねていっても。
最後まで残っていたものこそが。

「あなたの言葉」。

自分には、もう祈る言葉は残されてないけれど。
無感情のまま、無情な左遷を言い渡されるのを待っているようで、まるでカラッポだけれど。

「あなたの言葉」が。
もう一度、立ち上がろうとさせたのか。
誰の、何の言葉なのかは断言出来ないですが。

偉大なる先人達が遺した言葉なのかな。
ジョンレノンとか、ジョンレノンとか、ジョンレノンとか。

が、この歌で歌われてる「あなた」は、間違いなく今を「生きて」いる人で。
打ちひしがれてたタクロウさんに、少しだけ立ち上がるチカラが湧いてきたらしい。

それでも、どうしようもない無力感。
あなたの言葉の意味は、何処へ行けば、何処まで行けば分かるのだろう。
何処まで行けば、あなたの言葉に込められた、あなたの心を見つけることができるのだろう。

 

疲れはてた僕は 今死にゆく日を思い なお あなたの心いやそうと今日も叫ぶ

 

あきらめない。
痩せて、干からびてた心が、ほんの少し、光を取り戻した。

あなたの心を癒すんだ。
あなたの心を癒そうとするとき、自分は決して孤独じゃない。

叫ぶ。
歌いつづける。
自分のありったけの祈りをつぎ込んで。

神への祈りは、もう自分の中からは出てこない。
いもしない神様へ嘆いて助けを求めるよりも大事なことが、自分の中に、ある。

今を生きる、あなたの心を癒す。
そのために、これから先もずっと叫びつづける。

…と、何かに憑かれたように(笑)ここまで書いて。

『ひとひらの自由』の。
「人は孤独だ 僕は孤独だ だから歌うんだろう」。
ここら辺の意味が分からなかったのですが…今繋がったような気がしました。

『Fighting Sprit』。
「孤独が 戦う日々が終わるまでは 歌うよ」。
これもだ。

かけがえのない「あなた」という存在を守り抜く。
かけがえのない「あなた」の心を癒すんだ。

「あなた」を、孤独にさせないために。

孤独にさせるのは、ぬくもりだけど。
それを凌駕する勢いの想いで、孤独にさせない。

いつまでも叫びつづける。
心が、声が枯れても、明日の向こうに希望を見出して、歌いつづける。

それが、「生きがい」。

死にゆく日。
子供の頃から見続けてきた夢を失ってしまった日。
「もう死んでもいいんじゃないか、終わってもいいんじゃないか」と絶望した日。
未来の先に確かに在る「終わり」が、先の自分を待ち受けてるのを知ってしまった日。

それら全部を抱えて、絶望すら抱えて、また新しい夢を追いかける。
たぶん、この夢には「終わり」はない。
自分の手で終わらせる日は来るかもしれないけど。
タクロウさんの決意が消えない限り、在り続ける夢。

自分の心が死なないために。
すごいエゴかもしれないけど、この時点では、エゴ以外の何物でもなかったかもしれないけど。

それでも真摯に、この人は「あなたの幸せ」を願い続けている人なんだということ。
背負っているものは数あれど、この人の真実は「あなたの幸せを願う」こと以外、何もない。

もっと、もっと、先の未来。
辿り着く場所は、どこなんだろうな。

 

満ちたりてゆく事のない人の世は 命くち果ててゆくまでの 喜劇そのものだろう

 

ここで痛烈な自己批判。
でも、どこか人間に対しての愛おしさを感じるような気がしたり。

どれだけ欲望を叶えても、決して満ち足りない人々。
満足しても、それは束の間、またすぐ「もっともっと」と貪欲に求める。
みんな、自分の幸せを求めてあちこちせわしなく動き回っている。

命朽ち果てるまで。
死ぬまで現状に飽き足らずに、死ぬまで求め続けてゆく。

上から見れば、非常に滑稽に映るだろう。
命朽ちるまで、自分を満たしてくれるものを探してる。
タクロウさんも、同じなんだ。みんな同じだよ。聖人君子じゃないんだから。

生涯を賭けた笑い話。
言葉にすると、何とも壮大だなぁ(笑)。

それでもいいとさえ思う。
いいじゃないか、他人が見れば滑稽な笑い話であっても。

卑屈になってるんじゃなくて…自分が真剣なら、それでいいじゃないか。
真剣であれば真剣であるほど、ぶっちゃけ笑い話になるしね。そんなもの。

ここで曲は終焉を迎えたかのように一瞬静まりますが、まだ続いていく。
なんか、瀕死だったひとが息を吹き返したような…そんな風に聴こえる。

イメージ的には、洪水や雷や砂漠化みたいな天変地異が起こった大地。
それからしばらく経って、荒野に独り突っ伏してた男が目を覚まして起き上がるような(?)。

無力さとか、無念さとか、悔しさがごっちゃになった表情。
目だけはギラギラしている、何もなくても、何かに挑むみたいな。

それでも生きていくしかないじゃないか!っていうような。
どっかで読んだ言葉だな。

飛行機の離陸音が入ってるそうです。ホント?

 

歴史がそうであったように あの人がそうであったように
   僕は 幸せという魔物に取り付かれ 悲しみ繰り返す

 

厳かに。
噛み締めるように、叫ぶように歌われる。

歴史は繰り返される。
偉大な…後世に残る歴史だけじゃなく、人の細胞に受け継がれてゆく歴史も。

何度でも人は悲しみを繰り返す。
人を傷つけて、制圧して成り立ってきた時間の積み重なりが「歴史」だというなら。
一体、この膨大な時間、どれほどの残酷な歴史が刻まれてきたのだろう。

想いは消えない。

「幸せ」という名の魔物。
「こうでなければいけない、幸せにはなれない」という固定観念の元に、人は人の幸せを奪い合う。
まるでほんとに取り付かれてるみたいに、それしか見えなくなってしまう。他の景色は色褪せてしまう。

お互いを思いやる心も忘れて。
誰かを傷つけてるかもしれないとも、気付かずに。

どうして。

 

あの日 この大地にうぶ声をあげた その時からさがしてる
   失われた心の行方を 忘れさられたあるべき姿を

 

失われた心の行方。
忘れ去られた、あるべき姿。

…みんなが真剣に考えたなら。
この世に生きている人全員が、この事を見つめ直したら、きっと何かが変わるのに。

生まれたとき。
私は何か探してたかな。
母ちゃんを探してたかも。これは本能だな。
…うわぁ、全然憶えてないな。

生まれた時から、既に失われていた心とは。
何だろうな。この大地に…何だろう。

タクロウさんは、生まれた時から何かをずっと探してた。
探してるっていう事は、生まれる前には「在った」って事?

そういえば、「自分の半身を、ずっと求めてる」ってタクロウさんは言ってた。
…もしかしたら、半身を生まれた時からずっと探してるのか?

生まれる前はひとつだったのに、何処かへ失くしてしまった。
自分は今半分だけしかないって思ってるのなら、あの飢餓感も分かる。

孤独感が呼び起こす恐怖から逃れるため、必死に探し続けてるよう感じがする。

 

ずっとずっと 問いかけ続けてる
   心の中で 問いかけ続けている

 

ずっとずっと、問い続ける。
問うのをやめたら、何もかもが終わりそうな。

生きることは、失うこと。
喪失地獄のような生。

そして。
いつか、自分という存在も失われてゆく。

残すように。
いつか全てが消えていっても。

残ってやるんだ。
「此処」に、自分の存在を擦り付けて逝ってやるんだ。

ライブでは、タクロウさんすごいことになります。
頭をガッコンガッコン振って、いつもげるかとハラハラするほどです。

ラストの弦を引っかく音。
掻きむしるように、持ち得る限りの力で音を鳴らしてました。
どんなに遠くでも、ビリビリと伝わってくるものがあった。言葉の無い叫び。

言葉を持たないからこそ、叫びは純度を極限まで増す。

終わりに近づいていく。
ロストしていくドラム、ギター、ベースの音。
タクロウさんは弦を引き千切るほどに強くはじく。何度も、何度も。

無音が空間を押し潰そうとするのに必死に抗うみたいに。

まだだ。
まだ、終われない。

失われてゆくものの中で。
絶対に失えないと、失ってたまるものかと、繰り返す悲鳴に似た音。

あれは、たぶんタクロウさんの叫び。
何もかもを終わらせようとしたけれど、遂に終わらせられなかった慟哭。

『生きがい』。
綺麗なものでもない。つうか逆。
苦しんで苦しんで心が流した血にまみれた、ギリギリで生まれた生きる意味。

「あなたを癒したい」。
想いは「サヴィルロウ」へ。そして「SPECIAL THANKS」、「ひとひらの自由」へと繋がって。
「ALL STANDARD IS YOU」へ、時の流れと共に、しっかりと育まれながら流れている。

生きがい…なくても死なないもの。
躯は死なないけど。呼吸も、鼓動も続いていくけど。

心が死ぬ。

あなたの生きがいは、何ですか?

 

20030131